夢の続きの夢

師はどんな女性がタイプなんですか?

その言葉にはなんの変哲もない、まだうら若い女性特有の匂い、果実になる青い香りが満ちていた。
私はこれに丁寧に応えようとしているが、どこか悪ぶりたい気持ちもあった。
「そうだな、胸の形がいい娘かもな!」
今夜の宿は萩温泉郷の笹山中腹の内海が見える場所である。
夕刻に着いた部屋からは、萩漁港が眼下に見えた。
女性と観光?少し俯瞰して見れば、妖艶な間柄に見えるがそうじゃない。
ただの研究出張で互いに興味は学術的な事に向いている。
私はすでに年齢とともに 女性をただ人として見ているし、ましてや教え子である。
まったくSEXの対象として見ていない。
というよりも既に自分の本能からかなり縁が遠くなっているというのが事実だ。
それに教え子といっても私塾に参加してきたマーケターの卵である。
専攻は、メディア創造学 文化、歴史、芸術、宗教などをメディア目線で学ぶ学科だと聞いている。
歴史にアイデンティティーを抱き、これをテクノロジーを駆使してメディア化している私に関心を抱いた。
なにかこう、昔から小さい女の子に好感を持たれるという特性があったかも知れない。
胸の形のいい子、これだって既に初老である私の悪ぶった言葉であり、まだ女性の体に興味あるんだぞという一種の見栄のような事もあったであろうか?
そんな言葉に彼女がとった行動に驚かされた。
目の前で着替えを始め、浴衣に袖を通すタイミングで形の良い胸が目の中に飛び込んできた。
インナーというべきか?それ一枚で形が表わになっている。
確かに容姿を伺えば、女性美が和室の中に凝縮されていて、浴衣の着こなしもそれに伴って昇華されていた。
アハ、ハハハ。
一瞬、時間が止まったように思えたが、その時計の針を動かすかのように室内の冷蔵庫にあったビールを徐に取り出し、コップに注ごうとする。
そのASAHIのラベルの側を握り、私の手といっしょに強引に自分に引き寄せて、わざと自分の胸に触れさせた。
萩の楓
それでまた時計の秒針が止まったから、私はさらに言葉でその秒針を動かせる。
「おまえは反射炉か?」
ここに来る直前に見てきたのが、萩反射炉である。
幕末に鋳造に失敗した反射炉ではあるものの、この萩は大空襲の予定地から奇跡的に逃れ、当時の日本の姿がカプセルに収められた場所といってよい。
兎も角も 「反射」という言葉がその瞬間に自然な形で融合した。
その言葉センスによって、秒針はその後一切止まる事がなかったというのも肩を撫でおろせる要因であったろうか?
食事を済ませ、温泉で湯に浸かっているのだが、ずっと考えている。
夜は夜で、とばりを降ろし、和室のツインベッドでそれぞれ床についたが、やはりずっと考えている。
いったいあの行動はなんだったんだろう?
その後は、立場が逆転したような口ぶりの彼女が現在進行形である。

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